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新米執事物語

私は大学卒業の後、パリの執事養成学校を主席で卒業した。 いま執事が不足している時代。ヨーロッパ中から採用の連絡が来るほど、この学校を優秀な成績で卒業した者は引く手数多だ。 私はいくつかの現地面接を受けてから決めるつもりだ。 今日うかがうお屋敷を最後に決めようと考えていた。 現地に着いて屋敷のなかを年老いた執事に案内された。どうやら執事を引退するため、後任を求めているとのことだった。 とても感じのよい家族と使用人たち。給料もかなりの好条件だ。何よりこの家のご主人がいたく私を気に入ってくれた。ありがたいことだ。 私はここで働くことにした。ベテランの執事から学ぶことが沢山あると思ったからだ。 着任初日の朝、私に与えられた最初の仕事は、この家の一人娘を起こしてくることだ。 そんなことで良いのかと鷹をくくった。しかし、そんな生易しいものではなかった。 昨夜遅くにかなり酔って帰ってきたらしい。いくら声を掛けても起きてくれない。楽しい夢を見ているのか、満面の笑顔で寝ている。 格闘10分、やっとのことで目を覚ましてくれた。しかしベッドから出ようとしてくれない。 さあ、どうやって彼女をベッドから起こして着替えさせ、ご主人様の待つリビングに連れていけばいいのだう…。