社交界
裕福な家の友人が、平凡な家のオレを無理やり社会勉強だと言って社交界のパーティーに連れて来た。着なれないタキシードにカマーバンドが窮屈。所在無げにただ突っ立っている。ある女性に目に止まった。美しい。でもどこか寂しげだった。友人曰く。旧財閥の正当な血脈の令嬢らいし。友人も話したことすらないと言っていた。オレは彼女から目が離せなくなってしまった。すると、彼女が、目をつぶったと思った瞬間フラフラと倒れそうになる。オレは反射的に彼女の傍に走り、かろうじて支えることができた。周りは騒然となった。彼女はなんとか立ち上がり、パーティー会場を後にした。しばらくすると、初老の紳士がやって来た。「お嬢様があなた様をお呼びです。」そう言ってオレを彼女のところまで案内した…。